日本乳癌検診学会誌
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ホルモン補充療法中の乳腺画像所見
マンモグラフィ・超音波検査併用検診例での検討
藤野 久仁子榎本 智子寺井 義人後山 尚久植木 實
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2006 年 15 巻 3 号 p. 284-289

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抄録

ホルモン補充療法 (以下, HRT) は乳癌の危険因子とされており, HRT中患者の検診率は増加傾向にあるが, HRT中の乳癌検診方法は確立されていない。このためHRT中の乳腺変化を検討し, HRT中の至適検診方法を考察した。当科で乳癌検診を施行した6ヶ月以上HRTを施行中の患者46例 (以下, HRT群 : 年齢54.0±1.27歳) を対象とし, 65歳以下のHRT歴のない閉経後患者120例 (以下, 非HRT群 : 年齢53.7±6.72歳) をコントロールとした。HRTはエストリオール単独投与5例, エストラジオール単独投与16例 (以下, E2群), エストラジオールおよびプロゲスチン併用投与25例 (以下, EP群) で, 全例マンモグラフィ (以下, MMG) 二方向撮影と超音波検査 (以下, US) を施行した。HRT群においてMMGで不均一から高濃度乳腺の頻度は85%と非HRT群70%と比較し有意に高く (p=0.004), USでの嚢胞性腫瘤の出現頻度は, 非HRT群と比較しそれぞれ26%, 13%とHRT群で有意に高かった (p=0.03)。またMMGで不均一から高濃度乳腺の頻度はE2群69%, EP群96%とEP群が有意に高かった (p=0.05)。以上より画像で描出されうる乳腺変化は存在し, プロゲスチン併用投与で乳腺変化がより顕著になると考えられた。乳腺の変化を早期に察知するためには, MMGだけではなくUSの併用が必要であり, 通常検診よりも短期間での検診を施行する必要があると思われた。

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