日本乳癌検診学会誌
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超音波静止画記録法による検診精度について
栃木県乳癌検診より
森久保 寛伊藤 勇藤田 満高田 悦雄中村 裕恵福田 知子手塚 桂子山根 則幸
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1995 年 4 巻 1 号 p. 21-29

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抄録

1987年より栃木県保健衛生事業団が実施している超音波併用乳癌住民検診を紹介し, さらに1992年度より導入した超音波画像の静止画記録による読影システムの精度評価を行った。われわれが行っている栃木県内の乳癌検診は医師による触診と続いてこの医師の指示により検査技師が行う超音波検査で, 画像は静止画としてディジタル光磁気ディスクに記録され読影医に送られ, 検査技師立ち合いのもと読影されて要精検者が判定される。
過去6年間の総受診者は105,845名で発見乳癌は70例, 乳癌発見率は0.07%である。要精検率は超音波検査による絞り込み効果により低率で, 平均2.1%, 1993年度では1.7%であった。また発見乳癌のうち早期乳癌は46.4%であり, 特に継年受診者の中では73.3%であった。超音波静止画記録読影法を採用した1992年度と1993年度の要精検者の超音波診断と精検調査票の結果との照合から超音波検査システムのROCカーブを作成すると, カーブ特性は良好で検査感度をかなり維持しながら要精検率をさらに低下できる可能性が示唆された。存在診断に徹した視・触診と質的診断を重視した超音波検査の組合せによる本検診システムは比較的少ない設備とスタッフにより充分な検診効率を持つことが示された。

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