日本乳癌検診学会誌
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マンモグラフィ併用の乳癌集団検診の有用性と問題点
田中 真紀磯辺 真柳瀬 晃篠崎 広嗣亀井 英樹枝国 節雄
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1995 年 4 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

1991年以来, 一次検診にマンモグラフィ (以下, MMG) を併用した乳癌の集団検診を行ってきた。受診者数は延べ6,001例でその内86.2% (5,175例) がMMGを併用していた。撮影方法は時間的・経済的配慮から側面一方向で行った。MMGの画像を年齢別にみて読みやすかったかどうかの評価では, 50歳以上では約90%が判読しやすいとしていた。要精査率は6.3%で, 乳癌をMMG併用群から11例 (0.21%) 発見し, 早期癌が54.5%と従来の視・触診法と比較すると良好であった。年齢は40歳代が5例 (0.19%), 50歳代が6例 (0.39%) と50歳以上で高率だったが, 早期癌は40歳代が80.0%, 50歳代が33.3%と40歳代で高く, TO乳癌の2例は40歳代からであった。したがってMMG併用の乳癌検診は40歳以上に有効と考えられた。またこの検診の精度は, 感度90.0%, 特異度93.8%, 予知度3.1%と満足できる結果であった。症例を検討すると, 腫瘤を撮影範囲内にとらえていなかったり, 過去にMMGの経験のある症例があり, 今後は撮影方向の検討, 訓練された技師の育成, 前回のフィルムと容易に比較できる体制づくりが必要と思われた。

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