抄録
IASBとFASBは,IFRS15開発の最初の段階で,資産負債アプローチに基づく包括的な収益認識基準の開発を目指し,収益認識の公正価値モデルを提案したが,公正価値モデルは,2008年の討議資料の段階で却下された。しかし,当該モデルの意義を全否定することはできないので,本稿は,収益認識における公正価値モデルの簿記処理を取り上げ,公正価値モデルの測定の特徴を明らかにし,現段階における公正価値モデルに基づく収益認識の限界を分析するものであるが,それは公正価値モデルの再開発の準備の検討という意味をもつのである。