簿記研究
Online ISSN : 2434-1193
我が国の収益認識会計基準における会計処理
試論の提言
小野 正芳市川 紀子
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2021 年 4 巻 2 号 p. 19-28

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抄録

本稿は,我が国の企業会計基準第29号『収益認識に関する会計基準』の会計処理の諸問題を検討するものである。具体的には,まず1つの計算体系の中に2つの利益観が共存している可能性を示し,それを前提として,佐々木(2014)および石山(2019)における収益認識のための仕訳を検討した。その結果,佐々木(2014)および石山(2019)においては,財務諸表上と簿記処理上の峻別が謳われ,ひいては日常取引処理のわかりやすさや正確性を謳うものであった。この共通項は新田(2014)の会計基準の改訂に応じた財表簿記と外部との取引記録としての簿記とを峻別すべき提言,および新田(2013)の財務諸表作成のための処理とは別に外部との取引(日常取引)の正しさを保証する結論と同様である。これら先行研究の収益認識のための仕訳とそこから導き出された共通項を踏まえ,本稿では筆者による収益認識のための仕訳(試論)を示した。当該仕訳(試論)は,現行実務と大きな乖離もなく,新たな情報の提供可能性を示すものであるといえよう。

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2021 日本簿記学会
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