2004 年 31 巻 1 号 p. 38-42
^<28>Siと^<30>Si安定同位体を交互に積層した同位体超格子の,分子線エピタキシー(MBE)法による成長と,2次イオン質量分析(SIMS)とラマン分光による評価を報告する.今回,作製した^<28>Si_n/^<30>Si_n試料はn=8,12,24の3種類である.nは各同位体層の積層数を原子層の単位で表した厚みで,n=1が0.136nmに相当する.同位体超格子の場合,異なる同位体を積層しているとはいえ,化学的には同様のシリコンを積層していることにほかならない.我々の成長条件では,異なる同位体層間の拡散による混じり(界面における相互拡散)は1原子層以下で,その理由は化学的勾配がないためだと思われる.IV族エレクトロニクスの発展に向けて,ナノ領域における成長機構の解明は不可欠である.そのマーカーとして安定同位体が極めて有用であることを本稿では示す.