2009 年 36 巻 3 号 p. 155-165
陽電子消滅は固体中の点欠陥を非破壊で検出することができる手法である.陽電子が物質へ入射すると,電子と対消滅し主に二本のγ線を放出する.消滅γ線のエネルギー分布や陽電子の寿命を測定することにより,単一原子空孔や空孔クラスターを検出する.また,第一原理計算によるシミュレーション結果と実験値を比較検討することにより,欠陥種の同定や濃度の推定が可能となる,ここでは,陽電子消滅をGaN,AlN,InNの点欠陥検出に応用した結果を報告すると共に,本手法が窒化物光半導体の光学特性や電気的特性と点欠陥の関係を研究する有効な手法であることを示す.