抄録
〔要旨〕症例は83歳女性。鎖骨遠位端骨折,胸椎破裂骨折の手術のため前医より紹介入院となった。受傷後7日目に手術が行われ,受傷後14日目に尿道カテーテル抜去となったが,抜去翌日に腹部膨満・筋性防御が出現し,造影CT検査では腹水の出現を認めた。子宮癌に対する放射線治療歴などから尿道カテーテルによる膀胱破裂の診断となった。尿道カテーテル留置・メロペネムによる保存的加療が行われたが,受傷後2年の最終経過観察時にも尿道カテーテル留置が継続され,近医で2週間おきに交換されている。放射線治療による膀胱壁脆弱性に尿道カテーテル先端による膀胱過伸展が加わり,膀胱破裂に至ったと推測された。