Japanese Journal of Acute Care Surgery
Online ISSN : 2436-102X
早期公開論文
早期公開論文の4件中1~4を表示しています
  • 横野 良典, 蛯原 健, 米田 和弘, 島崎 淳也, 織田 順
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 14-04
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー 早期公開
    〔要旨〕症例は,27歳男性。交通事故で受傷し,当院搬送となった。FAST陽性のショックを認め,気管挿管後に切迫心停止となり開胸大動脈遮断後に蘇生した。初療室で開腹し,肝損傷へのガーゼパッキングを行いopen abdomen management (OAM)とした。復温,輸血を行い,12時間後に再開腹したところ,総胆管断裂を認めた。胆管を外瘻化後,OAMとした。初回手術から38時間後に胆管空腸吻合による再建を行い,引き続きOAMとした。術後,再建に伴う合併症なく経過したが,腸管浮腫のため閉腹困難となり,植皮術を行い52日目に独歩退院となった。本症例は,肝・総胆管損傷に対してdamage control surgeryと早期の胆管空腸吻合による機能的再建を行い,救命し得た症例である。
  • 折原 薫也, 深谷 昌秀, 斗野 敦士, 中根 有登, 平松 和洋
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 14-1
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/07
    ジャーナル フリー 早期公開
    〔要旨〕症例は51歳女性。呼吸困難を主訴に救急搬送された。著明なアシドーシスを認め,造影CT検査では上腸間膜静脈から門脈に血栓が存在し,空腸壊死を認めた。全身状態不良および腸管壊死領域確定のためdamage control surgery(DCS)の方針とし,トライツ靱帯から壊死空腸を約120cm切除し,吻合せずopen abdominal managementとした。約15時間後のplanned reoperation(PRO)では壊死の進展はなく,十二指腸小腸吻合を行い閉腹した。しかし,術後8日目に再度腸管壊死を認め緊急手術を要した。その後,縫合不全に対して長期のドレナージ治療を行ったが,第105病日に独歩退院した。原因は特定できず,特発性の上腸間膜静脈血栓症と診断した。腸管虚血を伴う重症内因性疾患に対してDCSは有用であるが,疾患によって適切なPROのタイミングを設定する必要がある。
  • 上田 菜保子, 坂平 英樹, 圓尾 明弘, 高岡 諒, 酒井 哲也
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 14-2
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/07
    ジャーナル フリー 早期公開
    〔要旨〕開放性骨盤骨折は骨盤骨折のなかでも発生率が2~4%とまれであり,直腸や尿道など隣接臓器損傷の合併率が高い外傷である。なかでも直腸や会陰部に開放創があるものはpelvic sepsisと呼ばれる深部敗血症をきたす確率が高く,死亡率は44%ともいわれ最重症に分類される。また,肛門括約筋の再建が不可能なほどの損傷では会陰部の糞便汚染は必発であり,感染のために骨折の再建が遅れ機能予後にも影響する。今回,開放性骨盤骨折に肛門損傷を合併し会陰部創の糞便汚染をきたした症例に対して,感染制御として腹会陰式直腸切断術を行い良好な機能予後を獲得した1例を経験したため報告する。
  • 関 聡志, 岡田 一郎, 小原 佐衣子, 井上 和茂, 米山 久詞, 菱川 剛, 長谷川 栄寿
    原稿種別: 症例報告
    論文ID: 14-3
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/03/07
    ジャーナル フリー 早期公開
    〔要旨〕症例は73歳男性。木の剪定中に約2mの高さから転落し受傷,当院へ救急搬送された。CT検査にて後腹膜血腫を伴う右寛骨臼骨折を認め,待機的手術目的に入院となった。第4病日に腹部膨満,嘔吐症状を認め腹部造影CT検査をしたところ,寛骨臼骨折部に腸管が嵌頓し腸閉塞をきたしており,緊急開腹手術を施行し嵌頓を解除した。術後経過は良好であり,右寛骨臼観血的整復固定術を施行後にリハビリテーション目的にて転院となった。寛骨臼骨折の合併症として麻痺性イレウスはしばしばみられるが,骨折部への腸管嵌頓による腸閉塞は非常にまれである。鑑別のためにはCT検査による慎重な評価が重要である。
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