〔要旨〕症例は78歳,男性。肺炎に対する抗菌薬加療中に下腹部痛と血圧低下を認めた。造影CTでは上行結腸から直腸まで連続して浮腫状変化と周囲脂肪織濃度の上昇を認め,便からは
Clostridioides difficile(CD)抗原および毒素が検出された。劇症型CD腸炎と診断し,保存的治療では改善しなかったため試験開腹術を施行した。手術所見では大腸の浮腫状変化を認めたが,虚血性変化や壁の菲薄化の所見を認めず,回腸瘻造設および大腸洗浄を行った。術後,全身状態は改善した。劇症型CD腸炎に対する外科治療は大腸全摘の報告が多い。今回,われわれは回腸瘻造設と大腸洗浄が有効であった症例を経験したため,文献的考察を加え報告する。
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