抄録
〔要旨〕症例は,27歳男性。交通事故で受傷し,当院搬送となった。FAST陽性のショックを認め,気管挿管後に切迫心停止となり開胸大動脈遮断後に蘇生した。初療室で開腹し,肝損傷へのガーゼパッキングを行いopen abdomen management (OAM)とした。復温,輸血を行い,12時間後に再開腹したところ,総胆管断裂を認めた。胆管を外瘻化後,OAMとした。初回手術から38時間後に胆管空腸吻合による再建を行い,引き続きOAMとした。術後,再建に伴う合併症なく経過したが,腸管浮腫のため閉腹困難となり,植皮術を行い52日目に独歩退院となった。本症例は,肝・総胆管損傷に対してdamage control surgeryと早期の胆管空腸吻合による機能的再建を行い,救命し得た症例である。