抄録
2013年4月から7月に北海道夕張郡の施設栽培圃場においてホウレンソウ Spinacia oleracea L. を3作栽培し,ホウレンソウケナガコナダニTyrophagus similis Volgin(コナダニ科;以下コナダニ)の餌として好適なペレット状有機質肥料(魚粕ペレット,菜種粕ペレット)40 kg/10 aを本葉2葉展開始めに土壌表面散布し,コナダニによる茎葉被害の軽減効果について検討した.いずれのペレット散布区でも無処理区と比較して土壌表面のコナダニ密度が高い傾向を示した.また,ペレットへのコナダニの寄生は土壌散布直後から収穫時まで確認され,日数の経過に伴って増加する傾向がみられた.一方で,発生予察トラップへの誘引は無処理区において調査期間を通して確認されたにも関わらず,ペレット散布区では収穫直前までほとんど確認されなかった.被害の初発は魚粕ペレットおよび菜種粕ペレット散布区で無処理区より1~2週間遅く,収穫時における被害度も無処理区に比較して大幅に低かった.なお,いずれの資材散布区においてもタネバエなど他害虫の発生はみられなかった.