日本応用動物昆虫学会誌
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米およびわらに含まれたγ-BHCの生物的定量
杉本 渥
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1966 年 10 巻 3 号 p. 156-162

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抄録
BHC剤を水田面施用した場合の,米およびわらにおけるγ-BHC残留量を検討した。すなわち,試料からγ-BHCをn-ヘキサンで抽出し,抽出液中のγ-BHCを分配クロマトグラフィーによって分析妨害物と分離したのち,アズキゾウムシを用いて生物的定量した。その結果,BHC剤をニカメイチュウ第1世代に対してだけ施用した場合にも,米からγ-BHCが検出されたが,第2世代に施用した場合のほうが検出量が多かった。また第2世代に対する施用時期がイネの収穫期に近いほど検出量が多く,施用量が多いと検出量が多くなる傾向もうかがわれた。しかしいずれの場合にも,精白した米からの検出量はきわめて少なかった。γ-BHCは米粒内では糠の部分に蓄積されていたが,むしろ,わらから多量に検出され,イネ全体から見れば主として茎葉部に残留し,穂や米粒内へ盛んに移行するものではないと認めた。
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