日本応用動物昆虫学会誌
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10 巻, 3 号
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  • I DDTおよびSumithionに対する感受性について
    渡部 仁, 高野 繁通
    1966 年 10 巻 3 号 p. 105-109
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カイコのDDTおよびSumithion感受性の検定に当たっての基本的な2, 3の問題をとりあげ次のことが明らかになった。
    (1) 5令起蚕のDDTおよびSumithion感受性には雌雄差が認められず,検定に際しては雌雄を分離して試験する必要は感じられなかった。
    (2) 3令,4令,5令の各起蚕期および4令食桑期について感受性を調べた結果では,個体当たりのLD50ではDDTとSumithionともに発育時期が進むに従って大きくなったが,単位体重当たりのLD50では各令起蚕期で大差がなかった。しかし4令食桑期にはLD50がきわめて大となり,食桑蚕の感受性は明らかに起蚕のそれと本質的に異なることが推定された。
    (3) 5令起蚕のDDTおよびSumithionに対する抵抗力は数時間の食桑によって急激に増加した。この増加度は完全に食桑による体重増加度と一致するわけではなかった。
    (4) 殺虫剤処理後の温度条件によってカイコの殺虫剤感受性は著しく異なった。すなわち温度条件を25°Cと15°Cとにした場合,DDT抵抗力は高温で大きく,低温では小さく,これに対してSumithion抵抗力は高温よりも低温で大きかった。
  • 岩本 静之
    1966 年 10 巻 3 号 p. 110-114
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    茨城県南部におけるイネヒメハモグリバエの周年経過について調べた結果,つぎの知見を得た。
    1. 冬季でも成虫,卵,幼虫,蛹の各態の生息がみられ,水の切れない湧水地などで,イネ科雑草の青葉が豊富なところでは,生息数が多く,また各態はたえず発育をつずけ,蛹は浅い水中の枯葉や葉鞘にも寄生していることから,ある程度,水中にあっても生存できるものと考えられる。
    2. 掬い取りによって成虫の発生消長を調べた結果,1月末∼2月初め,4月中旬,5月中旬,6月中旬,7月下旬,8月末∼9月初め,10月中旬,11月末∼12月初めに,それぞれ発生の山があり,8世代を経過するものと考えられる。
    3. イネ科雑草における卵,幼虫,蛹の寄生状況や時期的推移から,年間の発生世代数を検討したところ,同様に8世代経過したことが推定された。室内飼育では8∼9世代経過した。
    4. イネに寄生した次世代(6月中旬に発生した第4回成虫以降)からは,雑草に移行したが,これは稲の生育が進み,気温も上昇するため,稲が本種の生息環境として不適になるためであると考えられる。
  • III 発蛾の早晩と微粒子病との関係:罹病率軽微な場合
    大島 格, 広瀬 安春, 樺沢 ヨウ
    1966 年 10 巻 3 号 p. 115-122
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Investigations on the relationship between pébrine disease of silkworm moths and their eclosion time during each, ripening of larvae and its combination were performed in the case of slightly infected moths from about 10% to 0.3%.
    It was revealed that the percentage of diseased female moths always decreased in accordance with the retardation of eclosion date. The average percentage of diseased moths ripened earlier also was superior to those that followed.
    The above phenomena, however, did not always fit well on the diseased male moths, although similar characteristics were generally recognized. For instance, in the male moths, there occurred almost always reverse infection percentage on intermediate days and in some case even the average value of the diseased moths derived from the ripened larvae on the following day exceeded those of the first. The average infection percentage of a lot between the female and the male also did not always agree each time.
    The male moth, therefore, may not be suitable for the observation of pébrine control.
  • 小山 重郎
    1966 年 10 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アワヨトウは,その幼虫が水害後のイネに突発的に大発生する害虫であったが,秋田県下で1957年頃より水害と関係無に常発的に発生するようになった。
    (1) 1957年頃に,秋田県下の窒素肥料入荷量が急速に増加している。
    (2) 発生地においては,窒素肥料を多用したと思われる葉色の濃いイネにおいて,幼虫密度が高い傾向がある。
    (3) ポット栽培のイネにアワヨウトの卵を接種すると,窒素肥料を多用したものでは幼虫の生存率が高く,発育も速い。
    以上の事実から,秋田県においては,1957年頃からのイネに対する窒素肥料の多用が,アワヨトウ幼虫の生存と発育に好適な環境をつくり,全体としてアワヨトウ幼虫の大発生の機会を増加させたものと推測される。
  • 堤 正明, 桜井 清
    1966 年 10 巻 3 号 p. 129-137
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ダイズシストセンチュウ幼虫のふ化ならびにシストからの游出に対する寄主植物根〓出物(root diffusates)の影響を知るため一連の実験を行なった。その結果は次のとおりである。
    (1) 作物栽培土壌〓出液では,全般に寄主植物(インゲン,ダイズ,アズキ)液に浸漬したシストでは幼虫の游出数が大きく,また液採取時の作物の生育の進んでいるほど游出率が高かった。非寄主植物(コムギ)および無作物土壌〓出液,蒸溜水では游出がきわめて少ない。
    (2) コムギ栽培土壌〓出液にシストを浸漬しても游出はきわめて少ないが,液を交換してインゲン栽培土壌〓出液に浸漬すると,急激に游出率が大となる。
    (3) シストから取り出した卵粒を浸漬した場合も同様に寄主植物土壌浸出液でふ化率が高い。
    (4) 寄主植物の根の浸漬液および磨砕汁液も同様の作用があり,液濃度の高いほど游出率が高い。
    (5) 寄主植物を抜き取った土壌だけの〓出液でも同様の作用があり,根から〓出した促進物質が,ある期間土壌中に存在していることが明らかである。
    (6) 以上の結果から,ダイズシストセンチュウの寄主植物の根部には,少なくとも卵のふ化を剌激する物質が含まれることが明らかで,その結果シストからの幼虫の游出数も多くなるが,幼虫の游出に対する直接的な作用については本実験からは明らかでない。
    (7) その作用は各実験を通じてインゲンが最も大きく,この栽培土壌〓出液を高温処理しても作用が失なわれず,熱に対する安定性の高い物質と認められる。
  • 高井 昭
    1966 年 10 巻 3 号 p. 138-144
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 予察灯に誘殺されたニカメイガについて各部分の形態を相対成長法則により検討した。なお越冬幼虫を加温した成虫についても行なった。
    2) 相対成長係数αのおおよその値は,前翅長に対する成虫体長および開張が1,前翅長に対する成虫体重,総蔵卵数が3,幼虫体重に対する成虫体重,幼虫体重に対する総蔵卵数,成虫体重に対する総蔵卵数が1,幼虫体重に対する前翅長が0.4で,いずれも相対成長関係が成立した。
    3) 前翅長に対する成虫頭巾の相対成長係数は1よりも小さい。
    4) 翼荷重の指標としての成虫体重/前翅長は第1, 2回成虫とも雌より雄の方が小さい。
    5) 相対成長係数は最近の2∼3ヵ年では年による変動はなかった。
    6) イネで育ったニカメイチュウと,マコモで育ったニカメイチュウとの間では相対成長に統計的に有意差はなかった。
  • 木元 新作
    1966 年 10 巻 3 号 p. 145-148
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    In the course of current studies on the Asiatic Chrysomelidae, the author has come to the conclusion that a citrus flea beetle, described by CHÛJÔ in 1958 under the name of Clitea citri from the Okinawa Is. is no doubt identical with C. metallica CHEN, originally described from Tonkin and known also from Central and Southern China as a serious pest of citrus trees and the species is widely distributed in the Ryukyu Archipelago. The following list is compiled from references and the data obtained by the author from the collections of insects in Naturhistorisches Museum in Vienna and the entomological survey of the Ryukyu Archipelago in 1953∼1954 under the Japan-U.S. Cooperative Science Program.
    1) Ryukyu Archipelago: Okinawa Is. (Izumi, Nakijin and Nakasone). Ishigaki Is. (Banna-dake, Omoto-village, Kabira-Yoshiwara and Toro-gawa). Iriomote Is. (Kanpire-daki, Inaba, Shirahama-Sonai and Ushikumori).
    2) Taiwan: Takao (after KIMOTO, in press)
    3) China Szechuan (after GRESSITT & KIMOTO, 1963). Hunan (after GRESSITT & KIMOTO, 1963). Chekiang (after PENG, 1935). Kiangsi (after GRESSITT & KIMOTO, 1963). Kwangsi (after CHEN, 1939). Kwangtung (after HOFFMANN, 1935; after GRESSITT & KIMOTO, 1963). Hainan (after GRESSITT & KIMOTO).
    4) N. Vietnam: Hanoi and Hoa-Binh (after CHEN, 1933, 1934).
  • 福原 敏彦, 橋本 陽子
    1966 年 10 巻 3 号 p. 149-155
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1959年と1965年の第2世代のアメリカシロヒトリに核多角体病の大発生が認められた。多角体の大きさは1∼2μで形は6面体と4面体のものがあった。真皮,脂肪組織,気管皮膜などの細胞核内に多角体が形成された。感染初期の細胞では核の中央部に染色質の塊りがありこの部分に桿状ウイルス粒子(360×30mμ)が多数認められた。核の周辺部ではウイルス粒子は2∼14本の束になっており,これらの束を包みこんだ多角体が散在していた。感染末期には核全体が多角体で充満し,ついには細胞が崩壊した。6面体と4面体の多角体を作るウイルスの間に干渉が認められ,4面体ウイルスの方が6面体ウイルスより増殖速度が早いと考えられた。アメリカシロヒトリの核多角体病ウイルスはカイコ幼虫に対して病原性を示さなかった。
    顆粒病の封入体である顆粒は卵形で,大きさは長さが380∼520mμで,巾が200∼360mμであった。顆粒中には桿状ウイルス粒子が1本含まれていた。
  • 杉本 渥
    1966 年 10 巻 3 号 p. 156-162
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    BHC剤を水田面施用した場合の,米およびわらにおけるγ-BHC残留量を検討した。すなわち,試料からγ-BHCをn-ヘキサンで抽出し,抽出液中のγ-BHCを分配クロマトグラフィーによって分析妨害物と分離したのち,アズキゾウムシを用いて生物的定量した。その結果,BHC剤をニカメイチュウ第1世代に対してだけ施用した場合にも,米からγ-BHCが検出されたが,第2世代に施用した場合のほうが検出量が多かった。また第2世代に対する施用時期がイネの収穫期に近いほど検出量が多く,施用量が多いと検出量が多くなる傾向もうかがわれた。しかしいずれの場合にも,精白した米からの検出量はきわめて少なかった。γ-BHCは米粒内では糠の部分に蓄積されていたが,むしろ,わらから多量に検出され,イネ全体から見れば主として茎葉部に残留し,穂や米粒内へ盛んに移行するものではないと認めた。
  • 1 キタネグサレセンチュウとクルミネグサレセンチュウのD-D感受性
    近岡 一郎
    1966 年 10 巻 3 号 p. 163-164
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 10 巻 3 号 p. e1
    発行日: 1966年
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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