日本応用動物昆虫学会誌
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アワヨトウ成虫の糖蜜誘殺
小山 重郎
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1968 年 12 巻 3 号 p. 123-128

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抄録

1) 1964年∼1967年の4年間,秋田県農業試験場構内の4地点で,アワヨトウ成虫の糖蜜誘殺を行なった。
2) 誘殺消長は年3回の発生のピークをもち,ピークの大きさは年,世代によって大きく変動する。ある世代から次の世代への誘殺成虫数の増加率は,その幼虫期間の降水量平年差との間に逆相関の関係をもつと考えられる。
3) 雌雄の誘殺消長はおおむね一致している。
4) 誘殺雌の卵巣は1965年と1966年の第3回成虫では未成熟のものが多いが,その他の世代ではさまざまの成熟程度のものをほぼ同様に含んでいる。
5) 水田地においた誘殺器と畑地においた誘殺器とでは,その誘殺消長に違いがみられた。誘殺消長のピークの中で,強風を伴う降雨のあとですべての誘殺地点に現われる場合と,気象条件に関係なく畑地の誘殺器だけに現われる場合があった。前者は1965年と1966年の第3回成虫で,雌の卵巣が未成熟のものが多く,発生源が近くに認められない。後者は1966年第1回成虫で,雌の卵巣成熟程度はさまざまであり,発生源と思われる牧草地に近い誘殺器だけにみいだされた。

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