日本応用動物昆虫学会誌
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12 巻, 3 号
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  • 小山 重郎
    1968 年 12 巻 3 号 p. 123-128
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 1964年∼1967年の4年間,秋田県農業試験場構内の4地点で,アワヨトウ成虫の糖蜜誘殺を行なった。
    2) 誘殺消長は年3回の発生のピークをもち,ピークの大きさは年,世代によって大きく変動する。ある世代から次の世代への誘殺成虫数の増加率は,その幼虫期間の降水量平年差との間に逆相関の関係をもつと考えられる。
    3) 雌雄の誘殺消長はおおむね一致している。
    4) 誘殺雌の卵巣は1965年と1966年の第3回成虫では未成熟のものが多いが,その他の世代ではさまざまの成熟程度のものをほぼ同様に含んでいる。
    5) 水田地においた誘殺器と畑地においた誘殺器とでは,その誘殺消長に違いがみられた。誘殺消長のピークの中で,強風を伴う降雨のあとですべての誘殺地点に現われる場合と,気象条件に関係なく畑地の誘殺器だけに現われる場合があった。前者は1965年と1966年の第3回成虫で,雌の卵巣が未成熟のものが多く,発生源が近くに認められない。後者は1966年第1回成虫で,雌の卵巣成熟程度はさまざまであり,発生源と思われる牧草地に近い誘殺器だけにみいだされた。
  • 古田 公人
    1968 年 12 巻 3 号 p. 129-136
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) 接種によって,マツカレハを低密度に決定する死亡要因を解析した。接種はマツカレハの卵および各令幼虫を,木あたりの接種密度を変えて行なった。試験地は低い密度で自然の個体群の存在が認められる桃山と,生息が確認できない住吉山との潜伏発生期にあると思われる二地点に設定した。
    2) 桃山では越冬後におけるセグロアシナガバチによる捕食と,マツカレハ幼虫の逃散によって,密度は低いレベルに調節されていることがわかった。
    3) 住吉山では接種した幼虫は全部幼虫期のうちに絶滅したにもかかわらず,減少する経過は密度依存的であった。あまりに高い密度では,各令期の減少率は逆に低下したが,それでもその値は大きく,次の令期には密度依存的な減少のみられるレベルに密度は低下した。1令幼虫期に受けるアリやカマキリによる捕食が大きく,ほぼこれによって低い密度に決定されると思われる。
    4) 生存曲線の形は地点により,密度によって変化した。したがって,種によって一定した形の生存曲線をとるとは考えられない。
  • 平尾 重太郎
    1968 年 12 巻 3 号 p. 137-147
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1) シロオビウンカDelphacodes (?) albifascia MATSUMURAは,り病イネの吸汁によって縞葉枯ウイルスを獲得し,イネに媒介することができた。ウイルスの獲得吸汁は最低30分以下で行なわれ,平均12日の潜伏期間を経て媒介した。幼虫期に獲得されたウイルスは成虫になっても保持されたが,媒介はきわめて断続的であった。したがって媒介虫率は検定日により変動したが,最高30%であった。これに対して保毒虫率は80%程度で,親和性が強いといえる。縞葉枯ウイルスは経卵的に次代へ伝ぱんされ,この場合の伝染虫率は100%近いと推定された。
    2) 25°Cにおける卵期間は14日,幼虫期間は19日で,飼育によると成虫は約35日生存し,100∼200卵産下した。本種は短し型が普通であるが,飼育密度が高いと雌雄とも長し型が発現し,雌での発現率が高かった。飼育実験によりイネ科19種の寄主植物が確認され,この中にはイネ,ムギ類なども含まれている。越冬は休眠幼虫で行なわれ,第1回成虫の羽化盛期は4月上旬であったが,それ以降の発生経過は明らかでない。
  • 佐藤 仁彦, 斎藤 哲夫
    1968 年 12 巻 3 号 p. 148-155
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    吸収性口器を有する昆虫に対してよりも,そしゃく性口器る有する昆虫に対して浸透殺虫力が強い2種の薬剤NS 2662およびDEPの数種昆虫に対する薬剤の塗布処理による経皮毒性を調べ,これらの選択毒性の原因について実験した。
    1) 経皮毒性は口器の差による差は認められなかった。
    2) 32P-標識薬剤を用いて,表皮透過性,体内分布,神経組織への透過性を検討したが,選択毒性の原因となるような結果は得られなかった。
    3) In vitroにおけるこれら薬剤のコリンエステラーゼ阻害力と薬剤に対する感受性との間に負の相関がみられ,選択毒性の原因となり得ない。
    4) 32P-標識薬剤のin vivoにおける代謝を調べたところ,未分解物の量と経皮毒性との間に相関がみられた。
  • 湖山 利篤, 鶴町 昌市
    1968 年 12 巻 3 号 p. 156-163
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本編では,ツマグロヨコバイとヒメトビウンカに対する水面施用の防除効果について,その効果の原因を解析するために行なった実験の結果を報告し,薬剤の浸透移行よりも薬剤から蒸散するガス作用が防除効果の主因であろうと論じた。
    1) 吸汁毒性のみによるヒメトビウンカ成虫の致死効果を知る実験では,各種粒剤のうち,PHC粒剤が3kg/10aで効果を示し,他の粒剤は全く効果を示さなかった。ツマグロヨコバイに対しては,PHC, MIPC, NACがわずかに効果を示した。
    2) これらの薬剤の吸汁毒性による致死作用は施用後4日目から発現し,3日目までは全く効果を示さなかった。しかし,ほ場で水面施用を行ない落下する虫数を調べてみると,施用後1日目にほとんどが落下して死亡し,吸汁による効果とは考えられなかった。
    3) 密閉した箱内における粒剤から発散するガスによる殺虫率をみると,ヒメトビウンカに対してダイアジノン,エチルチオメトンはガスによるきわめて高い殺虫作用をもち,他の薬剤もかなりのガス殺虫力をもつことが明らかとなった。ツマグロヨコバイに対してはダイアジノン,MIPCはガスによる強い殺虫力を示したが,各粒剤とも一般的にはヒメトビウンカよりガスの殺虫力は弱い。また,両種に対して水面施用の状態であってもガスによる殺虫効果は十分に認められた。
    4) 広く水面施用剤として実用されているダイアジノン,エチルチオメトンに吸汁による殺虫性がなく,ガス殺虫性が高いこと,吸汁による殺虫性が認められたPHCもほ場ではガス作用によって殺虫するらしいこと,現在施行中のほ場試験によってガス作用による防除効果を認めたことなどから,ほ場における水面施用による防除効果の主因は,水底に沈んだ粒剤が,水に溶けるか,別の経路で大気中にガスを発散させ,これによってウンカ・ヨコバイ類を殺虫せしめることにあると考察した。
  • 第1報 主としてツマグロヨコバイを対象とした各種波長(色相)ならびに混光の誘引効果
    笹本 馨, 小林 正巳, 白石 啓文
    1968 年 12 巻 3 号 p. 164-170
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ニカメイガ誘殺に効果のある青色螢光灯Bを対照として,不可視域紫外線300nmから可視域光線700nmまでの波長を異にする13種のランプを供試し,ツマグロヨコバイを対象に,各ランプ単独使用の場合の誘引効果を調べたが,Bランプは可視域で最高であったが,不可視域のBLランプに比べ約42%の効果を示したにすぎない。昆虫類が波長の短い不可視域に反応を示し,可視域にも第2の刺激力を示す部分のあるところから,誘引効果を調べ,Bのほか,実験的にピークが認められたSおよび可視光全域の波長をもつWW-AとBLとの配合比率を変えて混合光線を作り,供試した結果,B:BL=3:7の比率で混光したものが効果的な誘引力を示すことを認めた。
  • 藤田 謙三, 土岐 昭男, 平田 貞雄, 増尾 伊助, 下苧坪 一男
    1968 年 12 巻 3 号 p. 171-173
    発行日: 1968/10/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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