抄録
1967年5月から11月まで,山形県下の針葉樹幼令人工造林地30個所を選んで,野ネズミを採集し次の結果を得た。
総数320頭のうちハタネズミ37頭,トウホクヤチネズミ24頭,アカネズミ243頭,そしてヒメネズミは16頭であった。
概してアカネズミの多い林地にはハタネズミが少ないか,またはその逆である。ハタネズミは山形県の東側に位する奥羽山脈より,西側の出羽丘陵における採集数が多かった。
また標高の差は,ハタネズミとアカネズミの採集数には影響がなかったが,トウホクヤチネズミは低地より高地の林地における採集数が多かった。なおヒメネズミは標高約1,000mまでの一般の人工造林地よりも,高地の天然林における生息数が比較的多いものとみられた。