日本応用動物昆虫学会誌
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未耕起田におけるツマグロヨコバイ第2回成虫の個体数調査法の検討
村松 義司杉野 多万司中村 和雄
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1970 年 14 巻 1 号 p. 19-24

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抄録

6月上旬,田植前の休閑田でツマグロヨコバイの5令幼虫,雌成虫,雄成虫の個体数をマーキング法により推定し,すくいとり法およびサクションキャッチャーによる個体数調査法の効率を検討した。またマーク虫を使ってツマグロヨコバイの移動の様相を調べた。その結果,
1) 6月8日の休閑田の調査ほ場におけるツマグロヨコバイの成虫個体数は,マーキング法によって1m2あたり約32匹と推定された。
2) すくいとり法は雌成虫にくらべて雄成虫を多くすくいとる傾向がみられるが,成虫全体の捕獲効率は約10%前後で,比較的安定していることがうかがわれた。
3) 5令幼虫の場合,すくいとり法の捕獲効率は成虫にくらべて低く,マーキング法による5令幼虫の個体数推定はさらに検討を要する。
4) サクションキャッチャーによる個体数調査法は,すくいとり法にくらべて5令幼虫を高い率で捕獲し,幼虫の調査に適していることが示された。また,成虫の雌雄による捕獲効率のちがいは,すくいとり法の場合ほど大きな差はみられなかった。
5) この時期のほ場外へのツマグロヨコバイの移動は,概して少なかった。

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