抄録
黒縞蚕を供試して,紫外線による外皮メラニン形成阻害に対する令中の感受性の変動,ならびにこの障害に対する紫外線の作用機構を明らかにするために二・三の実験を行ない,次の結果を得た。
第3令各時期の紫外線照射によって,以後の各令に種々の程度の外皮メラニン形成の阻害が起こったが,この障害に対する感受性は,令の初期(約20%経過時)に低く,約70%経過時に最も高かった。
また紫外線照射によって皮膚のチロシナーゼ活性の低下が起こったが,この活性低下は約20%経過時に少なく,約70%経過時に著しかった。
第3令約70%経過時の紫外線照射による外皮メラニン形成阻害ならびに皮膚のチロシナーゼ活性の低下に対しては,いずれも部分的な光回復が認められた。
以上の結果にもとづいて,外皮メラニン形成阻害の機構について考察を行なった。