日本応用動物昆虫学会誌
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捕食がもたらす被捕食者の分布の変化
I. 攻撃回数の分布
塩見 正衛
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1974 年 18 巻 4 号 p. 159-165

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抄録
1. 捕食性のカメムシPodisus maculiventrisは,被捕食者に針状の口をつきさして体液を吸い殺す。生きている被捕食者に対する攻撃は,必らずそれを殺す。またこのカメムシは死んだ被捕食者をも攻撃し,摂食する。
2. このような性質をもつ捕食者が,より多くの被捕食者を殺すには,捕食者の集団は,集団としてどのような性質をもっておればよいかを知るため,極めて簡単な実験を行ない,それらからえられた知見にもとづいて,統計学的モデルを作った。このモデルは,捕食者数,被捕食者数,単位時間あたり攻撃回数および被捕食者の死亡数の間の関係を結びつけるものである。
3. 作られたモデルは,捕食者および被捕食者が移動しないと仮定したときには,(1)攻撃回数が多い方が被捕食者の死亡数は高まるのは当然であるが,(2)それと同じ位あるいはそれ以上に,捕食者の攻撃回数(あるいは攻撃能力)が捕食者集団内で均一であることが被捕食者の死亡数を増加させるのに重要であることを示している。
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