日本応用動物昆虫学会誌
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久米島におけるウリミバエの個体数変動と抑圧防除
岩橋 統照屋 林宏照屋 匡伊藤 嘉昭
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1975 年 19 巻 4 号 p. 232-236

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抄録

久米島でのウリミバエ根絶のための不妊虫放飼実験に先だち,1972年12月より抑圧防除を行った。
1. 抑圧防除前(1970年6月から1972年11月まで)の久米島におけるウリミバエ個体数は2∼3月と7∼8月に少なく,5∼6月と11月頃にピークとなった。もっとも多い時期で1日1,000トラップあたり約1,000匹であった。
2. 月平均最高気温が31°C以上および月平均最低気温が14°C以下となると誘殺数は減少した。
3. 1972年12月から1973年6月までと,1974年1月から3月まで,キュールア97%とジブロム3%の混合剤24gを含ませた,6cm×6cm×9mmのテックス板を1月1haあたり1.85枚から2.77枚の割合で空中投下したが,十分な抑圧効果は得られなかった。
4. 1973年3月から6月まで,久米島の2地域に通常の10倍量のテックス板を空中投下したところ,誘殺虫数は通常散布区の10分の1程度に減少したが十分ではなかった。
5. 1974年6月より1975年1月まで月2回,プロテイン剤(140倍アンバーBYF 100水溶液にマラチオン(800倍)を加えたもの)560,700lをウリミバエ多発生地域のヤブを中心にhaあたり80lの割合で,スピードスプレイヤーで散布した。さらに1974年10月から12月までは,キュールア97%とジブロム3%の混合剤2gをしみ込ませた直径5mm,長さ5cmの木綿ロープも1月1haあたり40本の割合で空中投下し,1日1,000トラップあたり50匹以下の誘殺虫数に下げることができた。

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