日本応用動物昆虫学会誌
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カイコへのアビエチン酸誘導体の経口投与による3眠蚕の出現
村越 重雄中田 忠大塚 晏央秋田 弘幸田原 昭田村 三郎
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1975 年 19 巻 4 号 p. 267-272

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抄録

すでに,筆者らは化学物質を経口投与することによって,4眠性の交雑種から3眠蚕を出現させうることを,コウジ酸やその関連物質で見い出していたが,今回,アビエチン酸と37種の関連化合物および16種のヒドロフルオレン系化合物の3眠蚕出現活性を調べたところ,それらのあいだに,コウジ酸より強い活性を示す化合物を見い出すことができた。
すなわち,供試化合物を200ppm添加した人工飼料を4齢起蚕より連続投与したところ,アビエチン酸誘導体で3種,ヒドロフルオレン系化合物で11種のものが3眠蚕を出現させた。そして,これらの化合物のあいだで,構造-活性相関について若干の知見が得られた。上記14種の化合物のうち,9種類については,100ppmでも3眠蚕出現活性が認められた。最も強い活性を示した〔A-11〕 (methyl 6, 7-dioxo-5α, 10α-podocarpa-8, 11, 13-trien-15-oate)は,50ppmでも3眠蚕を出現させた。また,この化合物の100ppm添加飼料を3齢起蚕より連続投与したところ,無添加区が5齢になった時点でも,多くの幼虫が3齢のままで生存することがわかった。

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