1958 年 2 巻 3 号 p. 198-202
ニカメイガ幼虫の生育と水稲への窒素施用量との関係をあきらかにするため,土耕栽培された水稲を使用して,野外飼育試験ならびに無菌飼育試験をおこなった。両飼育試験の結果,幼虫の生育は少窒素水稲茎でよりも多窒素区水稲茎で良好であった。一方多窒素区水稲茎は少窒素区水稲茎よりも多量の窒素化合物を含有していた。また炭水化物含量にかんしてはこれと逆の関係が認められた。これらの結果は,ニカメイガ幼虫の生育と飼料である水稲茎中の窒素化合物ならびに炭水化物含量との間に非常に密接な関係のあることを示している。合成飼料を使用した前報の実験結果と考えあわせて,多窒素区水稲茎を摂食した幼虫のすぐれた生育は,水稲茎の化学組成202 日本応用動物昆虫学会誌 第2巻 第3号が幼虫の飼料として栄養的にすぐれていることに基因しているものと考えられる。