日本応用動物昆虫学会誌
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ヒメシロモンドクガの休眠性と生活史
佐藤 威
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1977 年 21 巻 1 号 p. 6-14

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抄録

性的2型とともに,季節的2型をもつヒメシロモンドクガの生活史を明らかにするため,3地方における光温図表を作成し,雌成虫の翅型の分化とその生存上の意味について考察した。
光周反応は長日型で,臨界日長は北方で長くなる傾向が認められた。臨界日長を境として,長日条件では長翅型雌が出現し,短日条件では短翅型雌が出現した。短翅型は休眠卵を産下した。光周感受期は幼虫後期であった。雄は常に長翅型であった。卵の休眠は母蛾によって決定され,休眠卵は大型で卵殼も厚く,非休眠卵とは形態的に区別された。幼虫の経過令数は雌雄で異なり,雌6令,雄5令であり,蛹体重は雌が重く,雄の約3倍に達した。
非休眠世代の有効積算温量は624∼665日度,発育零点は10.1∼10.4°Cであった。
光温図表から,2化地帯と3化地帯があることが示唆された。

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