日本応用動物昆虫学会誌
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イネクビボソハムシの要防除密度推定に関する研究
II 被害許容密度の推定
小嶋 昭雄江村 一雄
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1979 年 23 巻 1 号 p. 1-10

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抄録
1. イネクビボソハムシ幼虫の加害がイネの生育および収量にあたえる影響を,人為的に加害幼虫数を調節した圃場で調査し,加害と被害の量的関係と被害許容密度を検討した。
2. ある程度以上の加害を受けたイネは,無加害のイネより生育が遅延し,葉数,茎数が少なくなった。
3. 強く加害されると穂数が減少して減収した。穂数の減少は分けつの抑制ではなく,すでに発生している分けつの枯死と推定した。
4. 減収の要因として登熟の低下も考えられたが,これは,常に働く要因ではないと思われた。
5. 加害終了後にイネが被害を回復できるのは,加害量が少なかった場合で,加害量が多くなると被害は回復できなかった。
6. 減収率(Y)は,加害最盛期の株当り3-4令幼虫数(X1)とは,Y=-22.24+26.07logX1,同じ時期の被害葉率(X2)とはY=-20.22+0.39X2の一次式で予想することができると思われた。
7. この式から,減収を引きおこす下限の加害幼虫数は3-4令幼虫数で株当り7頭,被害葉率では50%程度であった。この式の95%信頼限界を求め,その下限値をとると,前者では3.5頭,後者では20%と推定された。
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