抄録
コナガの交尾活動におよぼす合成性フェロモンの影響を知るため,実験室内の条件下で性フェロモンの処理濃度を変えて交尾率の変化を調べた結果,次のようなことがわかった。
1. この害虫の交尾は,小空間内においては合成性フェロモンの存在によって大きな影響を受け,性フェロモンによる処理濃度が高くなるにつれて交尾率は減少をたどり,処理濃度が100μgになると交尾は全く認められなくなった。0.1, 1.0, 10.0および100μgの各処理濃度での交尾阻害率は,それぞれ23, 45, 82,および100%であった。
2. 性フェロモンの存在下における交尾対数の経時変化を30分ごとの直接観察によって調べたところ,性フェロモンによる処理濃度が0.1∼1.0μgの時には交尾対数のピークの現われる時期が無処理の場合より約30分ほど遅れ,濃度がそれ以上になるとこのピークが極めて低くなり,100μgでは完全に消失した。