抄録
主に0∼2日齢のヤママユガ雌を用いて,まず自然条件下におけるコーリング活動を調査し,次に12L-12Dの明暗サイクル下におけるコーリング活動およびコーリングに対する温度や光の強さの影響を調査した。
1) 本種のコーリング活動は次のような特徴を示した。(a)室内条件下でもほとんどの個体がコーリング活性を示す,(b)コーリングの期間はほぼ暗期全体にわたり,しかもその間高いレベルの活性が保たれる,(c)同一個体が長時間にわたりコーリングを継続する,などである。そして,このようなコーリング活性の性質を本種の生理的および生態的特徴から議論した。
2) 外界の温度が低くなるほど,また雌成虫の日齢が経過するほど,本種のコーリング開始時刻は早くなりコーリング頻度も高まった。特に15∼20°Cの温度下では消灯直後からかなりのコーリング活動がみとめられた。
3) 明暗サイクルの暗期の間に光をあてると,コーリング活動が抑制された。その閾値の光の強さは約20∼25luxであった。