日本応用動物昆虫学会誌
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イネミズゾウムシの被害解析
II. 成虫および幼虫による被害と被害許容密度の推定
都築 仁浅山 哲滝本 雅章下畑 次夫粥見 惇一小林 荘一
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1983 年 27 巻 4 号 p. 252-260

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抄録

イネミズゾウムシの加害がイネの生育および収量に及ぼす影響について,網枠を使用し成虫放飼密度を変えた成虫および幼虫加害試験とdiflubenzuronを使用した成虫単独加害試験を同時に実施し,成虫および幼虫による被害を解析し,さらに,本種の被害許容密度を推定した。
1) 成虫によるイネ葉身の食害程度は成虫密度に比例し,放飼2週間後ころに最大となった。
2) 移植直後に成虫を放飼すると,成虫および幼虫の加害により,イネの草丈,茎数は極端に抑制され,その影響は約2か月間続いた。
3) 成虫加害の影響は,一時的に草丈の低下,茎数の減少として現われた。幼虫加害の影響は成虫加害に引き続き現われ,草丈の低下,茎数の減少が顕著で出穂期に至るまで続いた。
4) 成虫加害のみでは収量にはほとんど影響はなかったが,幼虫加害が加わると減収が顕著となった。
5) 移植直後に成虫を放飼した場合,減収率(Y)と放飼成虫数(X)との間にはY=8.44+13.98logXの回帰式が成り立ち,この式から被害許容密度(Y=0)を推定すると株当たり成虫0.25頭となった。

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