日本応用動物昆虫学会誌
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切葉モデルを用いたイネゾウムシ成虫による稲の被害解析
切葉量と減収量の関係
松浦 博一石崎 久次
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1985 年 29 巻 4 号 p. 321-325

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抄録

イネゾウムシ越冬成虫による食害程度と減収量の関係を,無防除ほ場における食害株とイネゾウムシの食害を想定した切葉モデル株を用いて検討した。
1) 田植7日後に1回切葉しただけでは,切葉率が100%でも減収せず,この時期のイネは食害に対する感受性が低いものと推察された。
2) 切葉率30%の状態を田植7日後から約20日間継続させても,減収がみられなかった。また,現地ほ場において,食害葉率が30∼40%発生しても,減収が認められなかった。こうした知見から,減収限界食害葉率は30%以上のレベルにあると想定された。
3) 切葉率70%以下で生ずる減収が田植12日後の切葉に依存すると推定されたことから,一般ほ場においてて,減収限界食害葉率を見定める時期はこの頃と考えられた。
4) 切葉率と精玄米重の関係には,y=24.86+0.19x-0.01x2+0.000056x3 (r2=0.55)の曲線回帰式が比較的適合していた。この式から,減収限界切葉率は約50%と推定された。
5) 切葉に基づく減収は穂数の減少に起因しており,イネゾウムシの食害による減収は穂数の減少に起因すると推察された。

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