1986 年 30 巻 1 号 p. 12-16
ミナミキイロアザミウマの施設栽培キュウリにおける密度と被害の関係を明らかにするため,ビニルハウス内に4段階の密度条件を設定し,収穫期の密度をほぼ一定に保ち,寄生密度の違いが,生育・収量に及ぼす影響を調べた。
1) 定植後の生育(草丈・節数)は,高密度区でやや劣った。
2) 葉当り成虫数と幼虫数の間には高い正の相関がみられ,成虫数のみの調査で幼虫数の推移も代表できるものと考えられた。
3) 葉当り成虫数と,全収量および健全果収量との間に高い負の相関が認められ,被害果率との間には正の相関が認められた。
4) 被害許容密度は,全収量の5%および10%減少に対してそれぞれ葉当り成虫5.3頭および10.6頭,健全果収量の5%および10%減少に対してはそれぞれ4.4頭および8.8頭と推定された。