日本応用動物昆虫学会誌
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カイコガの羽化行動に関する研究
V. カイコガ潜成虫の羽化ホルモンに対する反応性
普後 一折笠 千登世
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1987 年 31 巻 2 号 p. 116-120

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抄録

カイコガ潜成虫の羽化ホルモンに対する反応性と,20ヒドロキシエクダイソン(Ecd)投与の羽化におよぼす影響について検討し,以下の結果を得た。
種々の発育段階の潜成虫に羽化ホルモンを投与し,早期羽化誘導率から羽化ホルモンに対する反応性を調べた結果,予想羽化時刻の約14∼12時間前ごろから羽化時刻に近づくにつれて,反応性は高くなることが判明した。予想羽化時刻の22時間前の潜成虫に,0.01∼10μgのEcdを注射しその後の羽化状況を調べた結果,0.01∼0.1μgの範囲では羽化日は対照区と変わらなかったが,0.5∼10μgの範囲では羽化の遅れがみられ,とくに5μg以上の注射区では対照区より2日遅れて羽化する個体が多くみられた。一方,予想羽化時刻8時間前に同様のEcd処理した個体では羽化の遅延はみられなかった。予想羽化時刻の20時間前にEcdを5μg投与された個体は,羽化ホルモンに対する反応性が低下していた。

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