抄録
カイコガ成虫頭部より糖蛋白質を抽出・部分精製し,その生理活性について調査した。ConA-Sepharose 4Bを用いたアフィニティークロマトグラフィーで,120gの成虫頭部より43mgの糖蛋白質を得た。おもな糖蛋白質の分子量は15,000, 30,000, 50,000であった。この糖蛋白質分画には,既知の昆虫神経ペプチドホルモン(前胸腺刺激ホルモン,羽化ホルモン,休眠ホルモン)活性は認められなかった。遊離腹部の卵巣発育に及ぼす糖蛋白質分画の影響を調べたが,この分画には生殖腺刺激ホルモン活性はみられなかった:卵巣発育は20-ハイドロオキシエクダイソンの投与時のみ認められた。