日本応用動物昆虫学会誌
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キャベツ圃場におけるコナガの寄生蜂の種類とその寄生率の季節的消長
岡田 利承
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1989 年 33 巻 1 号 p. 17-23

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抄録
三重県下の周年栽培のキャベツ圃場から1987年の4∼11月の間,コナガの卵,3・4齢幼虫,繭および寄生蜂の繭をほぼ週1回採集して,寄生蜂の種類と寄生率の季節的消長を調査した。
1) コナガの一次寄生蜂としては,卵寄生蜂のメアカタマゴバチTichogramma chilons ISHII,幼虫寄生蜂のApanteles plutellae KURDJUMOV, Diadegma sp.およびMeteorus pulchricornis (WESMAEL),蛹寄生蜂のDiadromus collaris (GRAVENHORST)およびチビアシブトコバチBrachymeria excarinata GAHAN,幼虫-蛹寄生蜂のTetrastichus sokolowskii KURDJUMOVの合計7種を記録した。そのうち,幼虫寄生蜂のM. pulchricornisはコナガから初めての記録であった。
2) コナガの一次寄生蜂のうち,寄生率の高い重要種は,卵寄生蜂のメアカタマゴバチ,幼虫寄生蜂のA. plutellae,蛹寄生蜂のD. collaris,幼虫-蛹寄生蜂のT. sokolowskiiの4種で,調査期間中の寄生率は,それぞれ11.9, 14.9, 36.7および12.0%であった。また,寄生率の高い時期は,それぞれ7月,6月上旬から7,月上旬,6月上旬から7月中旬および7月下旬から9月下旬であった。
3) コナガの二次寄生蜂としては,Trichomalopsis sp. A, Trichomalopsis sp. BおよびHabrocytus phycidis ASHMEADの3種が,一次寄生蜂のA. plutellaeD. collarisから羽化し,Eurytoma sp.がA. plutellaeDiadegma sp.から,また,ヒゲナガクロバチ科の1種と幼虫-蛹寄生蜂のT. sokolowskiiA. plutellaeから,蛹寄生蜂のチビアシブトコバチがDiadegma sp.からそれぞれ羽化し,合計7種を記録した。これらのうち,T. sokolowskiiとチビアシブトコバチはコナガの任意二次寄生蜂であった。
4) 二次寄生蜂の寄生率は全体に低く,最も寄生率が高かった6∼8月採集のコナガの幼虫の一次寄生蜂A. plutellaeDiadegma sp.の繭への寄生率でも,それぞれ14.8%と13.3%であった。
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