2023 年 7 巻 1 号 p. 47-58
【 目的】 エンド・オフ・ライフ期の非がん疾患高齢者の療養における意思表明支援に関わる訪問看護師の看護実践の実際を明らかにする.
【 方法】 3年以上の訪問看護経験のある訪問看護師10名に非がん疾患高齢療養者の意思表明支援の看護実践について半構造化面接で聞き取り,質的記述的に分析した.
【 結果】 訪問看護師は【療養者が思いを語ることができるための土台を作る】ことに取り組み,生活者である療養者の生活と人生を取り巻き支えながら,多職種で療養者の【その人らしさを支えるためのチームを作る】ことをしていた.【療養者の核心となる思いを様々な手法で引き出す】ことから,【その人らしく生き抜き,生を成し遂げることができるよう支援する】看護を実践していた.
【 結論】 訪問看護師は非がん疾患の経過をふまえ,療養者が語りたいという存在になることを前提として,人間関係の土台を作り,価値観を聴くタイミングを逃さないようにしていた.訪問看護師は,療養者が最期まで生き切ることを支援する,覚悟を持った多職種チームを形成し熟成させていた.