日本応用動物昆虫学会誌
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ハスモンヨトウの耐寒性と越冬に関する研究
I. 各発育段階における低温の影響
松浦 博一内藤 篤菊地 淳志
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1991 年 35 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

2段階の温度が一定の周期で切りかわる変温条件と恒温条件でハスモンヨトウを飼育し,低温条件下における各発育段階の長期生存能力を調査した。
1) 発育零点以下の低温に毎日一定時間遭遇する条件のもとで,3か月以上の長期にわたって生存できるのは蛹と幼虫だけであった。
2) 蛹は,発育零点以下の低温に2か月間さらされると,すべて増殖不能な羽化不全の個体となり,羽化障害の程度は蛹化日齢の進んだ個体で大きかった。
3) 幼虫は,羽化障害が発生する低温下でも3か月以上の長期生存が可能であり,その後の加温飼育においても正常に発育した。
4) 幼虫には,低温順化に伴う耐寒性の向上が認められなかった。
5) 低温条件下における若∼中齢幼虫の生存期間は,老齢幼虫のそれより長い傾向にあり,若齢幼虫のほうが越冬にやや有利と思われた。

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