日本応用動物昆虫学会誌
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オリーブアナアキゾウムシ成虫の飛翔行動発現に及ぼす環境要因
市川 俊英吉田 正一
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1991 年 35 巻 4 号 p. 275-281

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抄録

オリーブアナアキゾウムシ成虫の飛翔行動発現に及ぼす環境要因の影響を室内条件下で実験的に調査した。通常の飼育と同様に餌と水を与えて飼育した場合(対照区),実験期間中(28日間)の死亡個体はなく,作業中に飛翔行動あるいはその徴候を示す個体もなかった。水のみを与えた場合(給水区)あるいは何も与えなかった場合(完全絶食区)には時折一部の個体が飛翔行動あるいはその徴候を示し,実験期間中に全供試個体が死亡した。乾燥ヒノキ棒を飛翔台として4日間雌の行動を調べた結果,歩行と飛翔は夜間多く見られた。最も活発に飛翔したのは給水区の雌で,実験期間中に死亡個体が現れた完全絶食区の雌は翅を開いても飛翔しないものが大半であった。給水区の状態で4日間飼育した雌雄をオリーブの健全木と枯死木に放飼し夕刻から夜間にかけて観察した結果,健全木では5%が歩行して離脱したのに対して,枯死木では20%が歩行して,60%が飛翔して離脱した。

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