日本応用動物昆虫学会誌
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ツゲノメイガの生活史に関する研究
IV. 幼虫発育に及ぼす寄主植物の影響
丸山 威
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1993 年 37 巻 3 号 p. 117-122

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抄録

ツゲノメイガGlyphodes perspectalis (WALKER)の幼虫を3種類のツゲ(クサツゲ,セイヨウツゲ,チョウセンヒメツゲ)で飼育した場合の発育期間,摂食量,脱糞量,体重増加量を調査した。それらの結果をもとに日当り摂取量,日当り体重増加量,消化率,消化餌の変換効率および摂取餌の変換効率を求め,ツゲ種類間での本種幼虫に対する栄養性を比較した。
1) 越冬世代幼虫の日当り摂取量はセイヨウツゲで最も高かったが,日当り体重増加量と摂取餌の変換効率はクサツゲで最も高かった。
2) 4齢幼虫に対する栄養性の指数のうち,消化率はチョウセンヒメツゲで最も高く,クサツゲで最も低かった。しかし,それ以外は逆にクサツゲが最も高く,チョウセンヒメツゲが最も低かった。また,死亡率は,チョウセンヒメツゲを摂取したものが最も高かった。
3) 6齢幼虫に対する栄養性の指数のうち,日当り摂取量はセイヨウツゲで高かったが,それ以外の指数ではクサツゲが高かった。
4) 以上の結果より,本種幼虫の発育に対してはクサツゲが最も栄養性に優れており,逆にチョウセンヒメツゲの栄養性はきわめて乏しいことが明らかとなった。

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