日本応用動物昆虫学会誌
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エビガラスズメの実験昆虫化
人工飼料育における発育特性
霜田 政美上和田 秀美木口 憲爾
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1994 年 38 巻 4 号 p. 289-294

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抄録

甘藷の食葉性害虫であるエビガラスズメを実験昆虫化する目的で野外より導入し,人工飼料を用いて約3年間の累代飼育を行った。その飼育個体群について,個体飼育および集団飼育における発育過程の概要とその特徴を明らかにした。27°C, 16L-8Dの光周期条件下では孵化後12∼14日で5齢幼虫に脱皮,21∼26日で蛹化,36∼41日で羽化した。5齢幼虫は最大で体重11∼12g,体長8cmに達した。幼虫脱皮,蛹化,羽化いずれにも日周性が認められ,それぞれの発育ステージに固有の時間帯に脱皮した。また,欧米で実験昆虫として多用されているタバコスズメガと比較し,本種がタバコスズメガとほぼ同様の経過で発育することを明らかにした。本種は安定した通年累代飼育が可能で,今後タバコスズメガに匹敵する実験昆虫として幅広い利用が期待される。

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