1960 年 4 巻 2 号 p. 96-101
1958年,室内飼育によるモモシンクイガ幼虫と,ほ場より採集したものとについて頭幅を測定し,これから齢期の判定を行なうと同時に,成長する割合や変異について考察した。
1) 頭幅測定の結果,室内飼育では1化期,2化期ともに変異曲線が独立した4つの山を形成し,4齢を経過することがわかった。
2) ほ場より任意に採集した幼虫についても,室内飼育のものとほぼ同様な結果を得た。
3) 1化期における頭幅の成長比は齢の進行につれて減少する傾向を示すが,2化期では2, 3齢間の成長比が最も大きかった。
4) 22±1°Cの定温器で飼育した1化期幼虫は,果実内で約15日間を経過し,21±2°Cで飼育した2化期幼虫では約17日を要した。
5) DYAR, GAINES & CAMPBELLおよび徳永の式をそれぞれ適用して幼虫頭幅の成長を吟味した結果,1化期,2化期ともにGAINES & CAMPBELLの式が最も適合度の高いことがわかった。