日本応用動物昆虫学会誌
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カンザワハダニに対する茶樹の抵抗性に関する研究 (1)
ハダニの寄生に対する茶樹の品種間差異
刑部 勝
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1962 年 6 巻 2 号 p. 102-107

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抄録

カンザワハダニはわが国では茶樹の大害虫として知られているが,野外においては本種による被害が少ないものと,そうでないものとがある。著者はこの現象を茶樹の優良品種十数種について検討し,ハダニの寄生に対する茶樹品種の抵抗性について考察した。その結果を要約すると次のようである。
カンザワハダニの寄生は茶樹の品種によって明らかに差異があり,品種あさつゆ,べにほまれ,たまみどり,U-4, Y-1,などには寄生が多く,Y-3, Y-5, Z-1などには寄生が少ない。
一般に日本在来種の自然実生から選抜した現在の優良品種にはカンザワハダニが多く寄生する品種が多いが,これら優良品種の自花授粉によってできた品種には,ハダニの寄生に対して非感受性の品種が多い。
カンザワハダニの寄生に対する茶樹の品種間差異の現象が,ハダニの繁殖に対する茶樹の抵抗性によるのか,ハダニ自身の寄主選択性に起因するのか明らかでない。

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