日本応用動物昆虫学会誌
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リンゴ害虫の薬剤抵抗性に関する研究
第1報 殺ダニ剤の連続散布がリンゴハダニその他2,3害虫におよぼす影響
津川 力山田 雅輝白崎 将瑛小山 信行
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1964 年 8 巻 3 号 p. 191-202

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抄録

リンゴ園に連続4年間殺ダニ剤を散布し,リンゴハダニの発生と薬剤抵抗性の発現ならびに他害虫に対する殺ダニ剤の影響を調査した。
1. テデオン散布2年目からリンゴハダニに強力な抵抗性があらわれ,4年後にはサンホーゼカイガラムシとリンゴワタムシが多くなり,同時にリンゴハダニ自然死越冬卵が少なくなった。
2. マイトラン区とサッピラン区にいくぶんかハダニの抵抗性がみられたほか,両区にサンホーゼカイガラムシとクワシロカイガラムシが多発した。
3. フェンカプトン区には散布1年目から抵抗性が発現したが,試験開始前パラチオンを数回散布しているので,これは両薬剤に対する交差抵抗性のあらわれと思われる。なおフェンカプトン区にはカイガラムシ類とリンゴワタムシがきわめて少なかった。
4. テデオン,マイトラン,フェンカプトンおよびサッピランのそれぞれが連用されたリンゴハダニに対しては,ケルセンとアカールはともに顕著な効果を示した。
5. フェンカプトン抵抗性リンゴハダニに対してペスタンと改良メタシストックスはともに有効に作用し,テデオン抵抗性のものにはアニマートがよくきいた。

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