日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
研究
在宅で医療処置を行う家族介護者の経験:心理的な側面に焦点をあてて
春日 広美
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2006 年 10 巻 1 号 p. 76-83

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抄録

在宅で医療処置を行う家族介護者が心理面で経験することについて調査を行った.対象者は訪問看護ステーションから訪問を受けている利用者の家族介護者4人で,いずれも親の医療処置を実施していた.対象者ごとに質的帰納的に分析し,個々の対象者の経験を探索した.また対象者間に類似の経験を検討し,介護者の心理の傾向を明らかにした.その結果,各対象者に4~6つの経験があった.類似の経験には,親が変わってしまったと感じる,医療処置の実施はたいへんではない,医療処置がもたらす〔よいこと〕を感じる,医療処置による親の苦痛が怖い,があり,介護者の心理の傾向がみられた.医療処置の手技を覚えるよりも,要介護者が変わってしまったと感じるような精神的なことの方が介護者を苦悩させること,医療処置の苦痛および怖さの軽減には,看護師の援助との関連が考えられた.

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© 2006 一般社団法人日本在宅ケア学会
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