2011 年 15 巻 1 号 p. 26-34
本研究は,セルフ・ネグレクト対応の主要機関である地域包括支援センター(以下,包括センター)の介入方法と専門職が直面するジレンマおよび困難を分析することを目的とした.
A 市の包括センターの看護師等7 人を対象にフォーカスグループインタビューを実施した.得られたデータを質的に分析した結果,介入方法が7 カテゴリー,専門職が直面するジレンマが7 カテゴリー,困難が6カテゴリー抽出された.
包括センターの専門職は,個人の自己決定の尊重に関するジレンマを抱え,見守り介入,緊急時介入,予防的介入を駆使し解決に向けて対応していた.その過程で住民と関係機関とのジレンマや業務上のジレンマに悩むことになった.これらは,専門職の認識や使命感に関する困難,支援体制に関する困難,法的な未整備に関する困難につながっていた.また,対応困難事例の多いセルフ・ネグレクトの特徴から,専門職としての力量に関する困難を感じていた.