侵襲的人工呼吸療法(以下,TPPV)を選択しなかった筋萎縮性側索硬化症患者と家族の経験を明らかにするため,13 事例の遺族を対象にインタビュー調査を行った.
TPPV に関する経験は,選択せずに生きる・生きたことへの意味づけがなされる過程であり,時間の流れに伴い11 個のカテゴリーが抽出された.診断後《TPPV との出会い》があり,《衝撃・抵抗感》の有無によらず《選択するか否かの早い段階での意思決定・確認》または《迷い・葛藤》を経て《最終的な意思決定・確認》を行い,《残された日々を精いっぱい大切にすごす》経験が語られた.死後,《後悔や傷心》も語られたが,《振り返りと供養》を行い《肯定的な気持ち》が芽生え,《生活の立て直し》を行うようになったことが語られた.《その人の性格・価値観や生きてきた環境》は過程を歩む土台になっていた.
悔いのない意思決定に向けて十分な情報提供と対話がなされ,療養環境が整備されることが重要である.