1999 年 2 巻 1 号 p. 74-85
在宅ケアでは訪問看護婦は複数の他職種とかかわり,協働しながらケアにあたっている.このような協働場面において訪問看護婦はどのような役割を果たしているかを明らかにするために,訪問看護婦が他職種と協働で担当している清潔援助場面,問題解決調整場面,緊急対応場面を取り上げ,主に訪問看護婦と介護職の協働ケアに焦点を当てて分析した.対象事例の疾病・障害の程度,ケア内容,家族の介護状況,支援体制,訪問看護婦・介護職の背景の点から分析・検討した.研究対象は福岡県K市および近郊の訪問看護ステーションに勤務している訪問看護婦とホームヘルパーで,担当の10事例におのおの聞き取り調査を実施した.その結果,在宅ケアの協働場面において,訪問看護婦は健康問題の観点から役割を遂行し,他職種に情報提供,指導,メンバーの召集等を実施するなど,ケアマネジャー的な役割を果たしていた.