本研究の目的は,痴呆性老人の主介護者の介護負担感の関連要因について主に問題行動を中心として検討し,併せて痴呆性老人の問題行動の尺度開発に向けての基礎資料を得ることである.在宅痴呆性老人の主介護者177名に対して質問紙調査を行った結果,以下の知見を得た.
1)問題行動について因子分析の結果,9因子が抽出された.
2)日常生活動作(ADL)・痴呆の重症度・問題行動と介護負担感の間には,それぞれ有意な相関があった.
3)健康でない者,老人との人間関係が悪い者,1日の介護時間が3時間以上である者は,それぞれそうでない者に比べ介護負担感が有意に高かった.副介護者のいない者は,いる者に比べて介護負担感が高い傾向にあった.
4)重回帰分析の結果,介護負担感に有意な寄与を示した変数は,問題行動,ADL,副介護者,人間関係,1日の介護時間であり,最も大きく影響していたのは問題行動であった.
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