日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
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がん患者の折り合いの概念分析
内田 史江谷垣 靜子
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2016 年 20 巻 1 号 p. 80-87

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抄録

本研究の目的は, がん患者の折り合いの概念の特性を導き出し, 明確化することである.対象出版年を2000〜 2013 年とし,Web 検索システムを用いて,「折り合い」「がん」「患者」のキーワードをかけ合わせ分析対象として選抜された14 の文献を,Rodgers の概念分析の手法を用いて検証した.その結果,がん患者の折り合いとは,『死への不安を感じながら, どうにもならない理想と現実の葛藤のなかで, 生への対峙と模索を繰り返し, 症状や治療に合わせた, 安楽な方法を工夫してセルフケアを維持したり, 仲間との支え合いから, 新たな知見を得て生活のための調整を行い, 周囲や家族を含めた他者との関係の再認識をするとともに,自分らしさを模索し, 人生をとらえ直して自己概念の再考をするプロセス』と定義した.今回の概念分析から,がん患者の折り合いは,環境や自己を認知し,受容するための努力を意図的に行う行動的で,力動的な属性で構成され,療養生活のなかで幾度となく危機的状況に陥りながら,次第に折り合う力を獲得して帰結に至ることが明らかとなった.

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© 2016 一般社団法人日本在宅ケア学会
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