2001 年 4 巻 3 号 p. 40-47
看護サマリーネットワークシステムの構築において,サマリーの基本となる項目を構造化し,項目の意味づけの調査を行い,情報システムに実装するためのデータベースを考案した.
医療情報学会課題研究会「看護サマリーネットワーク研究会」の提唱した,「施設-在宅間の看護の継続に必要な看護サマリーの構成要素」と,病院において使用されている看護サマリーとの情報項目を比較した.その結果,病院で作成されるサマリーのほとんどが,入院中に起こった事柄を集約するためのサマリーであり,訪問看護ステーションへ患者の情報を送ることを考慮したサマリーのフォーマットをもっている病院は少なかった.また,看護サマリーに必要な情報項目から,一部の項目について,看護婦個々人における項目の意味の受け取り方に違いがあるかを明らかにするため,アンケート調査を行った.アンケートの結果,各サマリー項目の意味の受け取り方に関しては,調査を行った44項目すべてにおいて違いが認められた.これらの結果を踏まえ,看護サマリーの等質的な理解と作成のため,各サマリー項目の名称変更や意味づけ,マスタ作成等の工夫を行い,本システムにおける看護サマリーデータベースの構築を行った.