2001 年 4 巻 3 号 p. 87-95
本研究は保健婦が訪問活動実施している家族アセスメントを明らかにすることを目的とした.対象はエキスパート保健婦20名.研究方法は半構成的インタビューを実施し,グランデットセオリーアプローチを用いた.結果として以下の知見を得た.
1.対象である家族をユニットとして捉え,家族アセスメントツールは,家族と個人との両方に焦点が当てられていた.
家族アセスメントツールには,①実際の生活の観察,②生活歴,③疾病の認識,④家族の発達段階と疾病との関連性,⑤役割期待関係,⑥家族問題の具体的状況,⑦家族の問題解決パターン,⑧家族関係の緊張,⑨家族関係の疾病による緊張,⑩地域内での家族の位置づけの把握,があった.個人をアセスメントする項目には,⑪家族員のストレス解消方法,⑫家族員個々の思いがあった.
2.アセスメント分析方法は,家族が抱える問題を,最初に家族から表出される問題と家族の中に潜在化している問題との2種類に分けていた.また,保健婦が感じる家族から出された「信頼形成の兆し」を契機に,アセスメントした結果をもって介入を行っていた.