2001 年 4 巻 3 号 p. 80-86
目的:健康な男子・女子大学生17名を対象に,体位変換を徒手的にした群(徒手群)と体位変換補助機器を使用した群(自動群)との対象者への生理的,心理的影響を比較し,体位変換の安全,安楽について検討した.
結果:男女ともに,仰臥位から左側臥位への変換において,徒手群が自動群よりも収縮期血圧が減少した.脈拍は,男子の場合,徒手群と自動群の間に有意差はなかったが,女子のほうは,徒手群の仰臥位から側臥位に変換した時,脈拍の減少が認められた.肺活量は,男女学生ともに,徒手群,自動群のいずれも立位時より仰臥位や左・右側臥位に変換した時のほうが減少がみられた.特に,女子の自動群は,仰臥位から左・右側臥位に変換した時の肺活量の減少が著明であった.自覚症状の有訴数は,自動群が徒手群よりも多かった.安楽面では徒手群のほうがよかったが,安全面では自動群よりも循環機能への影響が大きいため体位交換時の観察の重要性が示唆された.